2009-10-17

勉強と成績の関係


ブルーバックス 「記憶力を強くする」 池谷裕二著より

勉強と成績の関係 p.219

このように、記憶力の相乗作用には、一般的に「累積(べき乗)の効果」があります。したがって、勉学の効果は幾何級数的なカーブを描いて上昇します。

 これを図に示すと図30のようになります。たとえば、いま皆さんは成績が1のところにいるとします。そして勉強の目標成績を1000に定めます。勉強してランクが上がると、成績は2になります。さらに猛勉強をして、もう1ランク上がると、成績は4になります。こうして、努力を続けていくと、成績は8、16、32、64と少しずつ累積効果を示してきます。

 しかし、こんなに努力をしたにもかかわらず、現在の成績はまだ64です。目標の1000にくらべれば、スタートの成績からほとんど上昇していないかのように思えます。ですからみなさんの多くは、この時点で「なんでこんなに猛勉強をしているのに自分の成績は上がらないのだろうか」「私は本当に才能がないのかもしれない」と真剣に悩んでしまうことでしょう。そして1000の成績をもった人を見れば「とてもかなわない」「ああいう人を天才というのだろう」「まさに別の人種だな」と思うはずです。たいていの人は、この時点で、自分の才能のなさに落胆して、勉強をあきらめてしまいます。そこで、成績1000を超えた人を便宜的に「天才」とよぶことにしましょう。

 しかし、さらに忍耐づよく勉強を繰りかえすことのできる人ならば、その後、成績は128、256、512と上昇していきます。じつは、ここまで努力して、ようやく勉強の効果が目に見えて確認できるようになります。これが勉強と成績の関係の本質です。そして、もう一息の努力をすれば、ついに成績が1024となり、目標に到達できるのです。勉強を続けていると、突然目の前に大海がひろがるように急に視界が開かれて、ものごとがよく理解できるようになったと感じる瞬間があります。ある意味「悟り」にも似た体験ですが、こうした現象はまさに勉学の累積効果によるものなのです。

(中略)

 こうして考えると、ものごとの習得において、もっとも大切な心得は「努力の継続」であることがわかります。

(中略)

 たとえ効果が目に見えなくとも、(脳を)使えば使った分だけ着実に、能力の基礎が蓄積されていくのです。ときに勉強が辛くなったら、この事実を思い出して自分を鼓舞してください。いつかきっと効果が現れるから、もっとがんばろうと。
(「記憶力を強くする」より引用)


脳科学の専門家がこう言っています。信じてがんばろう。

1 件のコメント:

  1. 素晴らしいですね!
    そういえば、某M先生も、似たような趣旨のお話を先日行われた新宿でのフォーラムでおしゃっていましたね。
    期待に届かないからといってやめてしまってはもったいないと。

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