2012-03-18

コンピュータ将棋


もうここまで来ていたのか!
平成24年1月14日、米長永世棋聖とコンピューターソフト「ボンクラーズ」の公開対局が行われた。

図は、後手の米長永世棋聖の2手目6二玉の局面である。人間同士の将棋では、少しでも将棋を知っている人なら絶対に指さない手である。以前、米長氏は「相手が自分より弱ければ普通に指せばよい。自分より強い人とやるときは普通に指しては勝てない。」と語っていた。この6二玉は、究極に普通でない手である。これは対戦相手のコンピューターソフトが、自分より強いと認めたということだと思った。これは対局後に出版された「われ敗れたり」という本の中で明確に書かれてあった。ボンクラーズが自分より強いと認めたうえで、いかに勝つかを研究して導き出した結論がこの6二玉だったのだ。コンピュータは、古今東西の将棋定跡が全てデータベースとして入っている。定跡通り進めたのでは、すなわち普通に指していたのでは勝てないと判断して、いきなり定跡データベースを無効にする効果はあった。この手は、将棋ソフトに革命をもたらした「ボナンザ」の開発者、保木邦仁氏に指南された手であるという。「ボンクラーズ」というふざけた名前の由来は「ボナンザ クラスターズ」であるという。ボナンザは開発者の保木氏がオープンソースとして公開したために、それを参考にして強いソフトが次々に出現した。ボンクラーズもそうしたボナンザチルドレンの一つというわけである。
今回の対局の模様は、ニコニコ生放送で中継された。視聴者数が多く途中で追い出されたので、有料会員になったら負けだと思っていたが、ついにプレミアム会員登録をしてしまった!来年はいよいよ現役のプロ棋士とコンピューターソフトが5人対5ソフトで対戦するという。「われ敗れたり」に書いてあったことだが、ドワンゴ会長の川上量生氏が「金なら私が出します。」という一言でこの形式で来年開催されることが決まったという。格好いいぜ会長。何よりも将棋を日本の文化として認めて、儲けは二の次という感じが男らしい。ヒロ前田さんも、このタイムシフト放送を見るためにプレミアム会員登録をしてしまったとツイッターで言われていたので、多少の会員増という実利はあったかもしれない。来年対戦するソフト5つは、5月5日に決勝が行われる世界コンピュータ将棋選手権の結果で決まる。非常に楽しみである。

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